小説

風よ。龍に届いているか

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コンピュータRPG『ウィザードリィ』、ファミコン版2にあたるシナリオ『リルガミンの遺産』を題材にした小説。『隣り合わせの灰と青春』の続編にあたり、宝島社の『ファミコン必勝本』に連載された。1994年9月に同社より単行本が出版され、瞬く間に完売するも、増刷無し。以後、2002年に創土社から上下巻ハードカバーで復刊されるまでは、大変入手困難な作品となる。

前作同様、筆者の重厚な描写は、元となるゲームのデジタルな事象を、読者の想像力の奥底まで刺激する緻密な世界観に変換していく。今作におけるそれは、ひとつひとつのミニマムな要素にとどまらず、作者独自の解釈を元に、一点に収束し、壮大なスケールに生きる戦士たちの叙事詩となる。ベニー松山の小説ウィザードリィ3作品の中でも、集大成と言える名著。

なお、ハードカバーで同時収載されていた短編『不死王』は電子版では分冊となっている。

著者:ベニー松山
イラスト:高橋政輝
価格:1200円
2016/7/11 配信

2016-07-11 | Posted in 小説Comments Closed 

 

不死王

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『隣り合わせの灰と青春』と世界観を同じくするウィザードリィを題材にした短編小説。1991年、JICC出版局より刊行された『ウィザードリィ小説アンソロジー』にて初出、その後、1999年に創土社より復刊された『風よ。龍に届いているか(下)』に収録された。

その内容は原作ゲームにはないオリジナルのものになっており、前作で著者が構築した世界観をさらに細密に掘り下げている。単なるスピンオフ作品ではなく、人間なら誰しもが抱えているであろう自己表現における苦悩や葛藤を想起させる深いテーマが、洗練された描写で綴られている。

後に書かれた『風よ。龍に届いているか』へと繋がる伏線や、前作『隣り合わせの灰と青春』のエピソードを補填する内容もちりばめられているが、全てを知った上で読み返してもどこまでが予定されていたものなのかすら気づかせないナチュラルな物語の運びは、見事という他はない。

著者:ベニー松山
イラスト:高橋政輝
価格:100円
2016/5/1 配信

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2016-05-01 | Posted in 小説Comments Closed 

 

隣り合わせの灰と青春

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ベニー松山による、コンピュータRPGの古典的名作『ウィザードリィ』を題材にした小説。1988年にJICC出版局(現、宝島社)より刊行。1998年には集英社で文庫化されたが、いずれも現在絶版。

キャラクターレベルや、呪文体系、善悪の戒律、転職などといった、ゲーム本編ではシステムとして存在しているのみの概念を、血の通ったリアリティある考察として再構築し、物語の一部として叙述する筆力は圧巻の一言。

原作の世界観をひとかけらも損ねることなく、バックボーンをこれでもかというくらいに肉付けし、紡がれるストーリーは原作を知らぬ読者にすら感動をもたらした。ゲームノベライズの歴史に名を残す傑作である。

著者:ベニー松山
イラスト:高橋政輝
価格:600円
2016/4/11 配信

8868139370
2016-04-11 | Posted in 小説Comments Closed